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最終講義

2018年2月23日(金)

10:30〜

​@稲盛財団記念館(稲盛ホール)

​ 九州大学伊都キャンパス

退官記念シンポジウムの開催に合わせて最終講義が行われます。場所は伊都キャンパスにて行われます。

岩見真吾准教授による最終講義挨拶

 私は、「巌佐庸教授最終講義」の世話人を担当している、数理生物学研究室・准教授の岩見真吾と申します。巌佐先生に九州大学に呼んで頂き、准教授に着任してから7年目に入りました。ずっと先の事だと思っていたのですが、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまって、「巌佐庸教授最終講義」が開催されること自体が悲しい気持ちで胸がいっぱいですが、巌佐先生の略歴を紹介させて頂きたいと思います。

 巌佐教授は、1975年に京都大学理学部を卒業され、1980年に同大学理学研究科生物物理専攻で理学博士を取られました。その後、日本学術振興会、スタンフォード大学、コーネル大学での博士研究員を経て、1985年、九州大学理学部の助手に着任されました。そして、1992年から26年間、数理生物学研究室の教授として研究及び教育に従事されてきました。Nature誌やProc Natl Acad Sci USA誌をはじめとする一般誌はもちろん、The American Naturalist、EvolutionGenetics等の生物学の核をなす専門誌から300編を超える学術論文を発表されております。また、ご自身がチーフエディターを務められているJournal of Theoretical Biologyという数理生物学を含む理論生物学の雑誌を生物学の1つの重要な雑誌へと押し上げられてきました。さらに、日本語で記載された書籍や総説も数多く出版され、国内の数理生物学の普及にも精力的に貢献されてきました。中でも、「数理生物学入門」と「生命の数理」は私達、数理生物学を学ぶものにとってのバイブルとなっております。これらの輝かしい研究活動および業績が認められ、2003年には第一回日本生態学会賞と日本進化学会の第三回木村資生記念学術賞を受賞されました。また、2006年にはアメリカ芸術科学アカデミー会員推挙、昨年2017年には、米国数理生物学会のAkira-Okubo Prizeを受賞されました。

 現在まで、非常に多くのPhDおよびポスドクを九州大学の数理生物学研究室から排出され、特段、若手育成に多大な貢献をされてまいりました。そして、この度、2018年3月31日をもって定年退官される予定となっております。通常、退官される教授には、最終講義をしていただくというのが常でございます。しかし、巌佐教授の場合、最終講義だけでは、先生の40年間にわたる研究生活を通じて作り上げた『数理生物学の広がり』が収まり切るはずもないと思いました。そこで、多くの研究者の方々、学生の方々と巌佐教授の数理生物学を共有するために、一昨日と昨日は「巌佐庸教授退官記念シンポジウム」を開催しておりました。2日間での参加人数が100名を超えた本シンポジウムでは、巌佐教授の数理生物学研究室出身の方々によるハイレベルで最先端な講演が数多く行われ、本当に充実したものとなりました。同時に、巌佐教授がどれほど数理生物学の発展に貢献してきたかが一目でわかる、そのような会でした。

 巌佐教授は、2018年4月から関西学院大学にて新しい数理生物学研究室を立ち上げられます。まだまだ、世界の数理生物学のトップランカーとしてあり続けると思いますが、九州大学での研究生活を一区切りさせる意味もありますので、本日の最終講義をお願いしたいと思います。
 

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